2019年12月に観た映画いろいろ(2019)

現在、noteで映画レビューなどいろいろ書いています。

「国家が破産する日」 監督 / チェ・グクヒ

1997年に韓国が直面したIMF経済危機の裏側を描いたドラマ。面白すぎてどうしようかなというかんじ。群像劇にしたことで、様々な立場からそれぞれのサスペンスがぐいぐい迫ってくる上にそれぞれの人物にもれなく肩入れしてしまい途中良い意味でのキャパオーバーになってしまった。常々思うのだけれど、映画というのは自分の人生では決してなり得ない立場に立っているかのような体験をさせてくれる。

「バーニング」の主人公を演じてたユ・アインが今度は稼ぎまくる役。俳優ってすごいなとしみじみ思う。彼が投資家たちに向けてのプレゼンをするシーンの迸る演技にはもってかれました。「無能なのか、無知なのか。私はそこに投資する」真似したくなるぐらいイカす台詞!

最高にかっこいいキム・ヘス演じる韓国銀行の通貨政策チーム長が、とにかく怒らない。何かを成すために怒ってる暇など無いという感じがとてもかっこいい。なので彼女が荒れてしまうときはこちらもとんでもなく絶望的な気持ちになってしまう。

複雑な状況を全く観客をおいてけぼりにしないよう工夫をちりばめ、且つものすごいスピードの歩みで物語を進めていく超エンタメ作品。その上実際に起きた事柄への超冷静なパンチ。本当にすごく面白くて、一体どうやって、と思うばかり…。

「マリッジ・ストーリー」監督 / ノア・バームバック

今年中に観たいが映画館に行けるかわからん…となり、NETFLIXで鑑賞。できれば劇場で観たいです。アダムドライバーとスカジョの離婚モノ。監督は「フランシス・ハ」などのノア・バームバック。ゴールデングローブ賞ノミネートされまくり。

冒頭、自分が思う相手の良いところをモノローグで語り、映像でその様子が映されるのだけどそのシークエンスがとっても良くて、すでに泣けてきてしまう。本当に可愛らしくてずっと観ていられるのだけど、人生そうはいかない。離婚モノであるということはすでに知っているので、どうしてこのふたりが?と思ってしまうのですがあとはそれを知っていく展開。とてもつらい。これは最悪な泥沼だ、命を落とさない戦場だと言われた通りの争いの様子。なるほど…というほかない。

アダムドライバーは本当にいい役者だな。神経質な人柄が生きている。とある場面で致命的な失敗をしてしまう彼の間の悪さがまたいい。うまくやれてるように見せかける内向的なスカジョもいいですね。

なんとか映画を観終えたころには宝物のような余韻が待っていた。とっても悲しいのだけど、素晴らしい過去は確かにあり、それはこれからも違う形で生きていくという人間らしい抗いがあった。とてもいい映画だった。LAはとにかく広いということもよくわかった。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」監督 / J・J・エイブラムス

いよいよこの日が…という気持ち。公開から数日経っていたのだけど、公開後初めての日曜日であることと、22日が109シネマのサービスデーということもあってか深夜のチケット発売時はサイトにアクセスできずになかなか苦戦しました。なのでここにいるみんなは夜更かししてなんとかがんばってチケットを入手した人たちなのだな…と周りを見回して小さく頷くわたし…

ノーラン最新作の「TENET」の予告が流れたのですがカッコイイ!どうやら映画本編の冒頭シーンをそのまま6分ほど流すというもの。私の記憶が正しければ、映画の情報は最後にバーンと出るタイトルのみで、ノーランの名前すら無かったかも。大胆でいいですね。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」について。お友達同士でスターウォーズについてヤイヤイ言うのって本当に楽しいですよね。今作で言うと、フィンうぜーんだよ!とかジェダイ先輩方、なんか楽しそうでいいですね!とか…そういったことは別として私が今回の三部作を見終えた現時点でのひとつの大きな感想としては、悲しいという気持ちでした。あまりにカイロ・レンという存在や彼の苦しさが魅力的で、(そしてそれを再現するアダム・ドライバーの底力〜)そもそも彼以外に、その心に寄り添いたくなるようなキャラクターがこの三部作で出て来なかったとも言えます。

I know what to do, but I don’t have the strength to do it. と言ってたカイロ・レン、そしてベン・ソロ(彼のことをもっと長く見ていたかった)のあまりに普遍的でヒューマニティそのものといえるジレンマの到達点が、ああいうきれいな形でおさまりましたね!というような図式が私にとっては本当に悲しいことだった。彼のイキって作った赤い線入りのマスクも思い出すほどに切ない。本当はどうなればよかったかもわからない。レイ、ポー、フィン三人衆のグループハグも納得できない。レイが探してた自分というものはどういうものとして自分で納得できたかも本当によくわからない。I’m just Reyへの共感を返してくれ!なんだよ!わかんね!